不眠と寝つきの悪さ|大濠公園での経過記録
「布団に入っても眠れずに困っていました」── そんな主訴で来院されたSさんは、長年の体の硬さに加え、寝つきの悪さに悩まれていました。何度か経過を重ねるなかで「最近は前よりも寝つきが良い日が増えました」と、Sさんご本人から手書きのメッセージをいただきました。本記事では、Sさんの経過を、ブレシア®臨床設計に基づく軸③(HPA軸・自律神経)×軸④(内受容感覚)×L1(神経制御)の枠組みで記録します。
① 来院時の状態
来院時のSさんの状態は、不眠を中心に複数の症状が連動していました。
- 布団に入っても眠れず、寝付くまでに時間がかかる
- 夜中に何度も目が覚める。朝起きても体が重く、疲れが取れない感覚が続く
- 全身、特に腰が板のように硬い。ご家族から「無意識に腰に手を当てている」と指摘されることも
- 呼吸が浅く、ふと気づくと止まっていることがある
- 1週間ほど前から胃の痛みが出現。お腹全体が硬く、冷たい感覚
- 慢性的な肩こり。動かすたびに違和感を感じる
「呼吸が止まっていることに気づいたとき、本当に怖くなりました」── ご本人の言葉は、夜だけでなく日中まで続く過覚醒状態(24時間続く緊張)として読み解けるサインでした。
② 施術の経過 ── 3階層への入力アプローチ
当院では、慢性的な不眠を「眠れない」という単一の症状ではなく、軸③(HPA軸・自律神経)・軸④(島皮質・内受容感覚)・L1(神経制御層)の3階層が複合的に固定化した過覚醒状態として読み解きます。Sさんに対するアプローチも、この3階層への入力の質を変えることを軸に進めました。慢性不眠が戻りにくくなる神経学的構造の詳細は、関連Mediaの慢性不眠が戻りにくくなる構造 ── Hyperarousal Modelと軸③×軸④×L1から読み解く女性の睡眠で解説しています。
初回は、肩周り・手の筋膜への入力を中心に、神経系への刺激の質を整えることを意識しました。深層の癒着を緩めるアプローチを行い、Sさんからは「思ったより深いところに響く」という体感が共有されました。
2回目以降は、胸郭の動きを引き出して呼吸を深くする調整に重点を置きました。胸郭は来院当初「全く動かない」状態でしたが、入力を重ねるごとに少しずつ広がりが出てきました。
3回目以降は、お腹の筋膜と内臓系への入力を加え、深部の緊張を緩めていきました。お腹は冷たく硬い状態でしたが、軸③(自律神経)と内臓の関係性を考慮した入力により、徐々に緩んでいく経過が確認されました。
③ 経過のなかで現れた変化
経過のなかで、客観的に確認できる変化と、Sさんの体感の両面で複数の変化が現れました。
- 肩の可動域:バンザイ動作で肘が曲がっていた状態から、両腕が真っ直ぐ180度近くまで上がるように
- 首の動き:後方反らしの「詰まる感じ」「重い感じ」が軽減
- 呼吸:胸郭の動きが引き出されたことで、深く息を吸えるようになる感覚が増えた
- お腹:冷たく硬かった状態から、柔らかさと温かさが戻ってきた
- 胃の痛み:気にならなくなった
- 姿勢:「お腹を前に出すように意識すると、自然と良い姿勢が取れる」という体感が出てきた
これらは、L1(神経制御層)の状態適応性が更新され、軸③(自律神経)の交感優位が緩み始めていることを示唆する変化として位置づけられます。
④ 寝つきの変化 ── Sさんからの直筆メッセージ
経過を重ねるなかで、Sさんから施術後に手書きのメッセージをいただきました。

「布団に入っても眠れずに困っていました。
最近は前よりも寝つきが良い日が増えました。
これからもお願いします」
「最近は前よりも寝つきが良い日が増えました」── これは、軸③(自律神経の交感優位)が緩み、副交感神経優位への切替が起動しやすくなってきたサインです。また、来院当初「ふと気づくと呼吸が止まっている」という自覚があったSさんが、経過のなかで「呼吸を意識する時間が増えた」という言葉に変わってきたことは、軸④(島皮質・内受容感覚)の解像度が高まってきている経過として位置づけられます。
慢性不眠における過覚醒は、Riemann らが指摘するように「24時間続く認知・身体・皮質の高止まり」として固定化された状態です。一晩で完全に書き換わるものではありませんが、適切な入力を重ねるなかで、Sさんのように「眠れる日が増える」という形で少しずつ状態適応性が回復していく経過は、ブレシア®視点でも整合的です。
⑤ 来院頻度・期間の目安と今後
慢性的に固定化した不眠・全身の硬さは、短期間で書き換わるものではないことが、神経学的にも知られています。Sさんの場合も、初期は週1回ペースで状態適応性の更新を重ね、変化が現れ始めてからは2週間に1回のペースへの移行を想定しています。
「これからもお願いします」というSさんからのメッセージを受けて、継続的な経過観察と入力の調整を行っています。慢性不眠は「眠剤で覚醒を抑える」だけでは戻りにくく、軸③×軸④×L1の3階層を整える時間軸での介入が、ブレシア®視点では必要だと考えています。
本症例は、ブレシア®臨床設計に基づく経過記録です。
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※ ブレシア®(brascia®)は医療行為の代替ではなく、状態把握とケアの質を高めるための独自フレームとして運用しています。
※ 症状によっては医療機関の受診が優先となる場合があります。
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リリーフポートフェミナ院長/鍼灸師
福岡市・大濠公園近くで、女性特有の不調と向き合う整体・鍼灸ケアを行っている。