授乳で肩と腕がつらい産後ママへ|原因とやさしいセルフケア
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こんにちは。Relief Port femina(リリーフポートフェミナ)の院長で鍼灸師の豊嶋です。
福岡市・大濠公園近くで、産前産後のからだと自律神経のケアを中心に、女性のお悩みに向き合っています。
多くのママが感じている授乳中の肩こりや腕の重だるさは、ただの“育児疲れ”ではありません。
無理な姿勢や同じ体勢が続くことに加えて、産後ならではの身体の状態と「3つの要因」が複雑に重なり合うことで、このつらさが生まれてきます。
要因1|姿勢の悪化と筋肉への「がんばりすぎ」負担
授乳やおむつ替え、抱っこ…
赤ちゃんのお世話は、どうしても前かがみの姿勢になりやすいですよね。
・背中が丸くなる(猫背)
・首が前に突き出る(ストレートネック気味)
・片側で抱っこして同じ側ばかりに負担がかかる
このような姿勢が続くと、
首から肩にかけての筋肉、特に「僧帽筋(そうぼうきん)」が常に引き伸ばされ、緊張状態が続きます。
本来なら、使った筋肉は一度ゆるみながら回復していきますが、授乳や寝かしつけで “休む間もなく使い続ける” ことで、肩〜腕のコリや重だるさとして感じやすくなってしまいます。
要因2|産後ホルモンがつくる「関節のゆるみ」と「自律神経の不安定さ」
産後の身体は、見た目以上に大きな変化の途中にあります。
その中でもポイントになるのが、ホルモンと自律神経です。
関節がゆるんで、土台が不安定に
妊娠〜出産の過程で分泌された「リラキシン」というホルモンの影響で、
骨盤や全身の関節・靱帯はゆるみやすい状態が続いています。
・骨盤という“土台”がグラグラしやすい
・姿勢を保つために、余計な筋肉ががんばる
・その結果、肩や背中、腕の筋肉が常に力みやすくなる
この「土台の不安定さ」が、コリを生みやすい身体環境につながります。
自律神経の乱れで、こりが慢性化しやすく
産後は、
・女性ホルモンの急激な変化
・夜間授乳や細切れ睡眠による慢性的な寝不足
によって、自律神経のバランスが乱れやすくなります。
自律神経のバランスが崩れると、
血管の収縮・拡張のコントロールが乱れ、血行不良が悪化しやすい状態に…
さらに、交感神経(緊張モード)が優位な時間が長くなると、
筋肉も休むタイミングを失い、少しの負担でも「痛い・重い」と感じやすくなってしまいます。
要因3|「固有受容器」の混乱で、姿勢が誤作動する
もう一つ、あまり知られていないポイントが 「固有受容器」 と呼ばれるセンサーの存在です。
固有受容器ってなに?
筋肉や関節の中には、
・からだの位置
・関節の角度
・動きの速さ
などを感じ取り、脳に情報を送っているセンサーがあります。
これが「固有受容器」です。
産後に起こる“センサーの混乱”
・関節がゆるんでいる
・悪い姿勢が続いている
こんな状態が続くと、固有受容器から脳に送られる「からだの位置情報」が不正確になっていきます。
すると脳は、
「からだを支えなきゃ!」と判断して、肩・背中・腕などの筋肉に、常に余分な力を入れるよう指令を出し続けてしまう ことがあります。
これが、“休んでも取れない… マッサージをしてもすぐ戻ってしまう…” という、頑固なこりの正体のひとつです。
マッサージだけでは追いつかない理由
授乳による肩や腕のコリには、
・前かがみ姿勢による筋肉の酷使
・産後ホルモンによる関節のゆるみと自律神経の乱れ
・固有受容器(姿勢センサー)の混乱による「無意識の力み」
といった要因が重なっています。
だからこそ、つらい所だけをその場でほぐすマッサージだけでは、どうしても元に戻りやすくなってしまいます。
フェミナでは、
①姿勢の改善
②骨盤という土台の安定化
③自律神経と“からだのセンサー”を整えること
この3つをセットで整えていくことを大切にしています。
産後すぐからできる、やさしいセルフケア
ここからは、産後の骨盤や肩まわりのために、ご自宅でできる簡単な体操を3つご紹介します。
▶︎ 無理のない範囲で、痛みが出る場合は中止してください。
▶︎ 帝王切開後や合併症のある方は、必ず主治医の許可を得てから行いましょう。
骨盤ゆらし
①膝を立てて、仰向けに寝ます
②骨盤の前の出っ張り(左右の腰骨あたり)に手を当てます
③骨盤を「ほんの少し」前後に揺らします(動きは5ミリ程度でOK)
・最初の位置から、少しだけ「後ろ」に倒す → 戻す → また少し後ろへ
・次に、最初の位置から少しだけ「前」に倒す → 戻す → また少し前へ
どちらの方向が“気持ちいいか”を感じてみてください。
心地よいと感じた方向を、呼吸に合わせながら数回だけ続けます。
痛みが出る場合は中止しましょう。
足首回し
①仰向け、もしくは椅子に座った状態で足を楽に伸ばします
②まずは足を左右に「ゆらゆら」と優しく振ります
③次に、つま先を「立てる・寝かせる」をゆっくり繰り返します
④余裕があれば、足首を内回し→外回しと、大きく円を描くように回します
足先だけでなく、ふくらはぎや太ももまでぽかぽかしてくる感覚があればOKです。
悪露の排出や、体のむくみケアにもつながります。
伸びからの「脱力」
①仰向けに寝て、両手を頭の上に伸ばします
②つま先も遠くへ伸ばすイメージで、全身を「ぐ〜〜〜〜〜っと」気持ちよく伸ばします
③3〜5秒伸ばしたら、一気に「ふにゃっ」と力を抜きます
④これを2〜3回繰り返します
ポイントは、「伸ばす」と「ゆるめる」のメリハリをつけること。
全身でため込んでいた力が、ふっと抜けていく感覚を大切にしてみてください。
最後に
授乳や抱っこは、ママの愛情そのもの。
だからこそ、「わたしのからだ」にも少しだけ優しさを向ける時間を、意識して取っていただけたら嬉しいです。
Relief Port feminaでは、
福岡市・大濠公園近くで、産後ママの骨盤ケアと自律神経ケアを組み合わせた施術を行っています。
「授乳のたびに肩や腕がつらい」
「マッサージに行ってもすぐ戻ってしまう」
そんなお悩みがあれば、どうぞ一人で抱え込まず、いつでもご相談ください。
リリーフポートフェミナ院長/鍼灸師
福岡市・大濠公園近くで、女性特有の不調と向き合う整体・鍼灸ケアを行っている。