頭痛が続くあなたへ|タイプ別の原因と整え方
目次 ー
週末の朝。
やっとゆっくり眠れると思ったのに、激しい痛みに襲われてベッドから動けない…。
長時間のデスクワークに集中しているうちに、首から後頭部にかけてカチコチに凝り固まり、午後にはズーンと重い頭痛が始まる…。
あなたの頭痛は、どちらのタイプに近いでしょうか?
多くの人が「頭痛がしたら、とりあえず市販薬」で対処していますが、頭痛のタイプに合わない対処法は、かえって痛みを長引かせたり、薬物乱用頭痛のリスクを高めてしまうことがあります。
ここでは、代表的な頭痛の種類と、その原因・対処法についてお話しします。
ズキンズキンと脈打つ頭痛(片頭痛)
片頭痛は、脳の血管と神経の反応が深く関わっている頭痛です。
血管と三叉神経の炎症
①ストレスや気圧の変化などをきっかけに、脳内の特定の神経細胞(セロトニンを放出する神経など)が過剰に興奮します。
②その興奮によって、まず脳の血管が一時的に収縮し(このとき前兆として、チカチカした光が見える「閃輝暗点」が出ることがあります)、その後、反動で血管が急激に拡張します。
③拡張した血管の周りには、顔面や頭部の感覚を司る主要な神経である三叉神経の末端があります。血管の拡張によって、この三叉神経が圧迫・刺激されます。
④刺激された三叉神経は、CGRPなどの炎症性ペプチド(痛み物質)を放出し、血管のまわりに炎症を起こします。これが、ズキンズキンと脈打つような強い痛みとして感じられます。
つまり、血管が急激に広がりすぎた結果、周りの神経が炎症を起こし、その刺激が痛みとして増幅されている状態です。
締めつけられるような痛み(緊張型頭痛)
緊張型頭痛は、首や肩などの筋肉のこわばりと、血流の悪化から生じる頭痛です。
筋肉の持続的な収縮と血流の悪化
①長時間の悪い姿勢(猫背・ストレートネック)や精神的なストレスにより、頭を支える首や肩、頭部の筋肉(僧帽筋・側頭筋など)が緊張し、硬くなります。
②筋肉が硬く収縮した状態が続くと、その内部を通る血管が圧迫され、血流が悪くなります。
③血行不良になると、筋肉中に疲労物質(乳酸など)や老廃物が溜まりやすくなります。また、酸素や栄養が不足することで、ブラジキニンなどの痛みを引き起こす化学物質が生成されます。
④これらの物質が筋肉内の神経末端を刺激し、ギューッと締めつけられるような、重く鈍い痛みとして感じられます。
つまり、筋肉が硬くなり血流が滞ることで、痛み物質が溜まり、頭痛として感じている状態です。
目の奥の激痛(群発性頭痛)
群発性頭痛のメカニズムは複雑ですが、視床下部(体のリズムを司る脳の司令塔)が深く関わっていると考えられています。
視床下部と自律神経の関与
①視床下部は、睡眠やホルモン分泌をコントロールする「体内時計」のような役割を担っています。群発性頭痛が特定の季節や時間帯に集中して起こるのは、この視床下部の一時的な異常が引き金になっていると考えられています。
②視床下部からの信号により、内頚動脈という太い血管の周囲で炎症が起こり、強い血管の拡張が引き起こされます。
③この炎症と血管拡張が、片頭痛と同様に三叉神経を刺激すると同時に、顔面や涙腺を支配する自律神経にも強く作用します。
④その結果、片側の目の奥に突き刺さるような激痛(三叉神経)に加え、涙が出る・鼻水が出る・まぶたが下がるなどの自律神経症状が、片側だけに現れるのが特徴です。
つまり、脳の体内時計の乱れをきっかけに、片側の血管と神経が強く炎症を起こすことで生じる頭痛と考えられています。
タイプ別・具体的な対処法
ここからは、それぞれの頭痛タイプごとの対処法を整理します。
片頭痛
血管の拡張と三叉神経の炎症が痛みの原因でしたね。
◎ 具体的な対処法
・こめかみを冷やす
→ 拡張した血管を冷やすことで、収縮を促し痛みを和らげます。
・暗く静かな場所で横になる
→ 光や音など、五感への刺激をできるだけ減らします。
✕ 避けた方がよいこと
・激しい運動やマッサージ
→ 血行が良くなり過ぎて、かえって頭痛が悪化することがあります。
緊張型頭痛
筋肉の緊張と血流不足による“こり”が原因でした。
◎ 具体的な対処法
・蒸しタオルで首や肩を温める
→ 温めることで血行を促進し、筋肉のこわばりをゆるめます。
・軽いストレッチ
→ 首を前後左右にゆっくり倒す、肩甲骨を大きく回すなど、やさしい動きで筋肉をほぐします。
✕ 避けた方がよいこと
・痛み止めを漫然と飲み続けること
→ 一時的には楽になっても、根本原因が改善されず、薬物乱用頭痛を招くおそれがあります。
群発頭痛
群発頭痛は痛みが非常に強く、市販薬では対応できないことがほとんどです。
・「片側の目の奥がえぐられるように痛い」
・「涙や鼻水が片側だけ止まらない」
・「同じ時間帯に毎日のように痛みが出る」
などの症状がある場合は、自己判断で市販薬だけで対応するのではなく、できるだけ早く医療機関(頭痛外来・脳神経外科・神経内科など)を受診することをおすすめします。
頭痛は「いつものこと」と我慢したり、薬でやり過ごし続けるものではありません。
ご自身の頭痛タイプを知り、からだの状態に合ったケアを選ぶことで、つらさは少しずつ変えていくことができます。
フェミナでは、頭痛の背景にある姿勢・筋肉・神経・自律神経の状態まで丁寧に確認し、一人ひとりに合ったケアをご提案しています。
「もう仕方ない」と諦める前に、一度ご自身の頭痛と向き合ってみませんか?
リリーフポートフェミナ院長/鍼灸師
福岡市・大濠公園近くで、女性特有の不調と向き合う整体・鍼灸ケアを行っている。