2026.04.20

PMSの起点はホルモン代謝層(L5)。でも施術は顔から始まる理由 ── Type Bに「副交感神経を高める」が逆効果になる臨床的根拠

PMSの起点はホルモン代謝層(L5)。でも施術は顔から始まる理由 ── Type Bに「副交感神経を高める」が逆効果になる臨床的根拠
この記事について
PMS・更年期・不眠・慢性疲労でお悩みの女性へ。
「リラックスすればいい」「副交感神経を高めればいい」とよく言われるけれど、それで本当に変わりましたか?
リリーフポート・フェミナ鍼灸整体院が独自技術ブレシア®(brascia®)を用いて、なぜお腹や腰ではなく、顔面・三叉神経から施術を始めるのか、その臨床的根拠を解説します。

「副交感神経を高めましょう」がうまくいかないとき

更年期の不調・PMS・慢性的な不眠でお悩みの方が、整体院や鍼灸院、ヨガ、瞑想などに通われても、

「リラックスはできるけど、症状自体は変わらない」
「施術中は気持ちいいのに、数日で元に戻る」
「むしろ施術後にぐったりしてしまう」

という経験をされた方は多いのではないでしょうか。

この背景には、ブレシア®の視点から見ると「副交感神経を高めるだけでは不十分」という、見落とされがちな臨床原則があります。


ブレシア®とは(前提)

ブレシア®(brascia®/商標登録 第6920621号)は、Brain(脳)とFascia(筋膜)を統合した独自のニューロソマティック臨床モデルです。Emaps株式会社(柔道整復師・鍼灸師/技術経営修士・宇土善之 考案)が体系化しました。

リリーフポート・フェミナ鍼灸整体院は、ブレシア®を内受容調整領域(更年期・PMS・不眠・女性特有の不定愁訴)に特化して運用しています。女性鍼灸師による女性のための施術設計です。

ブレシア®の全体像・概念体系は原典を参照:
ブレシア®原典


PMS・更年期の不調はどこから来ているのか

ブレシア®の5Layerモデルで、女性ライフステージの不調は次のように読み解きます。

Layer 名称 PMS・更年期での典型的な状態
L1神経制御層過敏・過警戒、音や光に弱い
L2筋膜構造層肩こり・腰痛・顎関節の緊張
L3圧制御層呼吸が浅い、お腹の張り
L4体液循環層むくみ・冷え・のぼせ
L5ホルモン代謝層HPA軸の疲弊・アロスタティック負荷・免疫負債(「戻る」本体)

PMS・更年期の不調の本体は、多くの場合L5(ホルモン代謝層)にあります。そして評価軸としては、軸③(大脳辺縁系・視床下部/HPA軸)・軸④(島皮質・内受容感覚)が中心になります。


「L5が起点なら、L5を整えればいい」が誤読である理由

ここで多くの施術者・患者さんが陥る誤解があります。

「じゃあホルモンや内臓を直接整える施術をすればいい」
「副交感神経を高めるアプローチを増やそう」

ブレシア®原典は、この発想を明確に「誤読」として退けています。

原典で明文化された最重要原則

評価起点Layer(何が制約か)と介入入口(どこから触るか)は別の概念である。
Type Bで評価起点がL4/L5であっても、介入は顔面・三叉神経(L1 Phase1)から入る。L4から直接触るのは誤り。

この原則の詳細解説はハブ記事へ:
【ブレシア® 新設原則】評価起点Layerと介入入口は別物である


なぜ「副交感神経を高める」が逆効果になりうるのか

ブレシア®では、ポリヴェーガル理論(Stephen Porges)に基づき、神経状態を3タイプで分類します。

タイプ 神経状態 臨床的特徴
Type A 交感神経優位型過緊張・過警戒状態眠れない、常に疲れている、動悸、音光過敏
Type B 背側迷走神経シャットダウン型凍りつき・虚脱状態やる気が出ない、解離感、慢性疲労、感覚鈍麻、朝のだるさ強い
Type C 腹側迷走神経優位型社会的関与が可能な調整状態身体が変わりやすい、回復が速い

更年期・PMS・慢性疲労でお悩みの方に多いのが、Type B(背側迷走神経シャットダウン型)、あるいはA+B混合型(臨床で最多。「だるいのに肩はガチガチ」が典型)です。

Type Bに副交感神経刺激が逆効果になる理由

Type Bはすでに「副交感神経(背側迷走神経)が過度に優位」な状態です。生命の危機を察知した動物が「凍りついて動かなくなる」と同じ、ニューロセプションが脅威を感知し続けて虚脱している状態。

ここに「さらに副交感神経を高める施術」を加えると、虚脱反応がより深まってしまうことがあります。施術後に「ぐったりする」「動けなくなる」と感じる方は、この逆効果が起きている可能性が高い。

L5(ホルモン代謝層)に直接アプローチする施術(深部内臓リリース・強い腹部施術など)は、Type Bの方には禁忌に近い。これがブレシア®の臨床原則です。


リリーフポート・フェミナでの施術順序

ブレシア®の因果逆順モデルに沿って、女性ライフステージ向けに最適化された順序で施術を行います。

施術の3段階

【Phase 1】安全の再構築(L1・軸①) ── まず顔と首から

  • 首への鍼(微細な刺激で神経系に「安全」を入力)
  • 眼球運動
  • 三叉神経への振動刺激
  • 顎関節調整

ここで神経系が「今は安全」と感知できる状態を作ります。「副交感神経を強化する」のではなく、ニューロセプションに「安全」のシグナルを入れるのが目的です。

【Phase 2】入力の再設計(L2・L3・軸②③) ── 次に筋膜と鍼

  • 筋膜リリース
  • 脊柱の柔軟性改善
  • 腹部のリリース(鍼を組み合わせる)

鍼による深部入力と手技による筋膜調整を組み合わせるスタッキングにより、脳と身体のインテグレーションを促します。

【Phase 3】流れの回復(L4・軸①③) ── 最後に体液の出口

  • 左鎖骨下リンパ還流
  • 体液・ホルモン出力の流れを整える

ここでプライミング(環境適応・柔軟反応)が起こり、HPA軸・自律神経のホルモン的調節に変化が生まれる状態へつなげます。

毎回1軸集中の設計

フェミナでは、主訴や月経周期・ライフステージに応じて自律神経/筋骨格/ホルモン系の中から1軸に集中して施術します。全部を一度にやらない。これも「身体は安全なときにしか変わらない」という最上位思想に基づく選択です。


内受容感覚(軸④)へのアプローチ

ブレシア®の4軸のうち、フェミナが特に重視するのが軸④(島皮質・内受容感覚)です。

内受容感覚とは、内臓感覚・体内状態・感情の身体表現を統合する感覚のこと(A.D. Craigらの研究)。PMS・更年期の不調では、この内受容の精度が低下していることが多く、「自分の身体が何を感じているか分からない」「気分の波と身体の波がつながらない」状態になりがちです。

Phase 1→2→3の順序を守ることで、この内受容の精度を段階的に回復させていきます。急いでL5に触るのではなく、L1の安全 → L2・L3の入力 → L4の流れ → その先にL5の変化がついてくるという設計です。


他の「女性向け整体」と何が違うのか

比較項目 一般的な女性向け整体 リリーフポート・フェミナ(ブレシア®)
アプローチ「リラックス」「副交感神経を高める」Type判定 → 神経系の「安全」を先に作る
対象LayerL2・L3(筋膜・呼吸)中心L1〜L5まで評価、介入はPhase 1から段階的に
ホルモン系への介入直接的(内臓リリース等)L5は最後。Phase 1〜3を経てL5に変化が及ぶ順序
施術の一貫性毎回同じメニュー主訴・周期・Type・起点Layerで毎回設計

施術設計のまとめ

  • PMS・更年期の不調の本体は、多くの場合L5(ホルモン代謝層)にある
  • しかし評価でL5が制約と判定されても、介入は必ず顔面・三叉神経(Phase 1)から始める
  • 特にType B(背側迷走神経シャットダウン型)には、「副交感神経を高める」アプローチが逆効果になる場合がある
  • 「身体は、『安全』なときにしか変わらない」が全施術の最上位思想
  • 1回の施術で「リセット→学習→定着」を通した先に、ホルモン・自律神経の変化が生まれる

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ブレシア®の概念体系・全体像:
ブレシア®原典(Emaps株式会社)

ハブ記事(この原則の詳細解説):
【ブレシア® 新設原則】評価起点Layerと介入入口は別物である

他ブランドでの同原則の展開:

リリーフポート・フェミナの領域ページ:
内受容調整領域(ブレシア®の臨床運用)


ブレシア®(brascia®)は商標登録 第6920621号。© Emaps株式会社/宇土善之 無断転載・二次利用禁止

Supervision by Risa
Risa

リリーフポートフェミナ院長/鍼灸師
福岡市・大濠公園近くで、女性特有の不調と向き合う整体・鍼灸ケアを行っている。